社会保険料率とは何?日本国内の推移と海外の平均を比べてみるとどうなる?
社会保険の保険料を調べていると、社会保険料率、という言葉が出てきます。単純に見れば、社会保険料の全体の率、社会保険料率の総称として使われる言葉ですが、政府統計資料などにも出てきます。
ここでは、社会保険料率とはどんなものか、政府統計資料に見られる日本の社会保険料率はどのようになっているか見てみるとともに、賃金に対する税金が、海外の国と比べると日本は高いのかどうなのかも一緒に見てみましょう。
社会保険料率とは
- 社会保険料率とは、各種社会保険の保険料の率の総称
社会保険料は、健康保険料、厚生年金保険料、厚生年金保険料からなり、各々保険料の率がありますが、この「社会保険料率」は、それらの総称として用いられます。
例えば、社会保険料率では、健康保険料率は何々%、厚生年金保険料率は何々%、という感じですね。
また政府の統計資料などでは、単純に各社会保険料の率を合計した値を社会保険料率として、社会保険料率の過去からの推移などを見る時に使われます。
社会保険料率の推移は常に上昇!
例えば以下は内閣府の資料ですが、健康保険料率、厚生年金保険料率、介護保険料率を単純に合計した値を用いて、過去から現在(平成26年4月)までの推移を表しています。
単純な合計値ですが、これからすると従業員負担の社会保険料率は、平生26年4月時点で、14.92%。
平成元年4月では8.95%となっていることから、この25年で6%(毎年平均0.24%づつ)上昇していると読み取れます。
別の記事で掲載している、保険料算出に使われる「標準報酬月額」の推移を合わせてみてみると、報酬(給料)は常に上昇しているわけではないが、社会保険料率は常に上昇している、ということが分かりますね。
単純に考えれば、給料は年々減ってやる気が失せていくのに、社会保険料だけはやる気満々のひたすら上昇志向、みたいな感じでしょうか。^-^;)
社会保険料は基本的に労使折半(会社が半分支払う)ということから、個人の社会保険料が「年々上昇していて厳しい!」というのは、つまり同時に企業から見ても「年々上昇してい厳しい!」ということが言えます。
経済的に見れば、保険料負担の増加により、企業の競争力の低下、雇用の拡大の抑制にもつながる、ということですね。
ものには2つの見方がありますが、この社会保険料でも企業の負担増については、
- 1)社会保障の充実に企業が貢献することで、労働者の働く意欲の向上が図れる
- 2)企業の体力低下にもつながり、つまりは競争力の低下、雇用の拡大が中々はかれない
といった2側面があるんですね。
1)については、多分企業にお勤めの方はほぼ意識してない(失礼!)ということから、2)の方の検討がより重要なように思えます。つまり、現在の社会保険料の仕組みではなく、ある部分を消費税などの税金でまかなう、ということです。
簡単な話ではないですが、あっちを叩けば、こっちがでてくる、といったモグラたたき状態にもなりそうですね。
海外と比べると日本の社会保険料は高い?
海外と比べて、日本の社会保険料はどうなっているのか見てみましょう。
国各々社会保険の仕組みが異なり、一概に単純比較はできませんが、OECD(経済協力機構)に加盟する国々の賃金に対する税の割合のデータがあります。(参照:Taxing Wages 2016 - en - OECD)
子供のいる家庭の場合ですが、主な国をピックアップしてグラフにしてみると、以下のようになります。
賃金に対する税金の割合を見てみると、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデンに続き日本が来ます。
社会保障の制度が各国異なるため一概にはいえませんが、賃金に対する税金がフランスはもの凄く高く、イギリス、カナダ、アメリカは結構低く見えますね。
※)社会保障の制度では、イギリス、カナダ、スゥエーデンでは日本のように社会保険ではなく税方式となっているようです
日本はOECD全体の平均より少し上に見えますが、これを従業員の負担割合順に並べ替えてみると、以下のようになります。
主要国をピックアップしてみてますが、この中では2番めに高い所に日本が来ていますね!
この表だけで見ればOECD加盟国の主要国の中では、日本は賃金に対する従業員の負担割合が結構高い、ということになりそうです。
今回のまとめ
- 社会保険料率とは、各種社会保険の保険料の率の総称
- 単純に健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、といった各社会保険料の率を合計した値としても用いられる
- 社会保険料率の推移を見てみると、給与は減少しているのに、社会保険料率は年々上昇している
- 国別に比較してみると、賃金に対する税金では、日本はOECDの平均値より少し上。
- それでも、従業員の負担割合で見てみれば、主要国の2番めになるほど高い
社会保険料率の話から、最後には国別比較した賃金に対する税金の話になりましたが、やはり高いは高い、というところです。
記事の中にあるグラフで見られるように、賃金は年々増える、ということはなく、それでも社会保険料は年々増え続けてます。
どこかでなにか手を打たないと、ということで色々と改革が進められているところですが、少子高齢化の波もあり、全体としてはこれからドンドン大変な事になっていく、というところでしょう。
少子高齢化が更に進む、という点では、まずは医療費の問題をどうするか、ここが一番のポイントに来る気がします。